北海道の郷土料理で冬の定番の「たちの味噌汁」
先日、日本テレビ「秘密のケンミンSHOW 極 」の「ズズっとすすってポッカポカ!全国アツアツ汁祭り」の中でも紹介され、6位にランキングされていました。北海道の数ある汁物の中で、「たちの味噌汁」がランキングされていたのは、正直驚きでした。
そこで「たちの味噌汁」とはどんな料理なのかを紹介したいと思います。
北海道の郷土料理「たちの味噌汁」の「たち」とは?
北海道では、タラの白子「たち」と呼びます。マダラの白子を「真だち」、スケソウダラの白子を「助だち」と、タラの種類によって呼び名が変わります。
タラは、日本では古くから食されているなじみのある魚ですね。タラの生息する水温が2~4℃なので、漁獲量は北海道が全国一を誇っています。
タラという漢字は、身が雪のように白いので「鱈」と書かれますが、この漢字が表すように冬が旬の魚です。「たらふく」食べることを「鱈腹」、「でたらめ」を「出鱈目」と漢字で書かれるほど、節操なく何でもよく食べることで知られており、大きな口で魚類やエビ類などを捕食するので、昔は「大口魚」と呼ばれていました。
マダラは、水分が多くて身は柔らかい淡白な味わいの魚です。背部から体側にかけてまだら模様があることが魚名の由来です。ムニエルやフライ、鍋物や汁物、珍味など、幅広く食されていますね。
マダラの白子の「真だち」は、色は白くて房が大きく、とろっとした食感とこってりとした味わいが特徴です。新鮮なものは生食ができ、すしネタやぽん酢和えなどに使われます。天ぷらや炙り焼きなどの火を通したメニューもよく見かけます。高級品ですが、冬になると真だちの美味しさを一度は味わいたくなりますね。
スケソウダラは鮮度が落ちるのが早いため、一般的に流通されることは少なく、ほとんどはかまぼこなどのすり身の原料として使用されます。スケソウダラの卵巣は「タラコ」に加工されています。
スケソウダラの白子「助だち」は、少し赤みがかったクリーム色で房が小さく、生食はできません。真だちに比べると食感も味も劣りますが、汁物にした時の美味しさは絶品です。秋ごろからスーパーの店頭に並び、手頃な値段で購入することができます。
この助だちを使った味噌汁が、北海道では「たちの味噌汁」と呼ばれていて、家庭の味として親しまれています。
「たちの味噌汁」の作り方
「たちの味噌汁」は、作り方がとても簡単です。助だちは若干の臭みがあるので、下ごしらえをするとより美味しく召し上がれますよ。
材料(4人分)
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助だち 1パック(250g~300g)
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長ねぎ 1/4本
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かつおと昆布の合わせ出汁 (だしの素使用しても可) 800ml
- 味噌 大さじ3~4(味噌の種類はお好みで)
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塩(下ごしらえ用)適量
① たちを軽く水洗いしてボールに入れ、塩を加えてやさしく混ぜ合わせる。手についてくる泡のようなものと薄皮、筋を取り除く。(泡のようなものは臭みの原因です)
③ 長ねぎは斜め薄切りにする。
④ 鍋にだし汁を入れて火にかけ、沸騰したら、②の白子を加えて煮る。白子に火が通ったら、いったん火を止め、みそを溶き入れて、③のねぎを加える。再び火にかけ、沸騰直前で火を止める。
我が家では、絹豆腐を1/2パックをさいの目に切って加えることもあります。豆腐にうま味が染みて美味しいですよ。
火を加えすぎると助だちが固くなり、食感が悪くなるので火加減に注意してくださいね。
たちの気になるカロリーと栄養は?
たちはクリーミーで濃厚な味わいなので、カロリーが気になりますね。そしてタラの精巣という部位にどれだけの栄養素があるのかも気になるところです。
たちは栄養も豊富で、優良なタンパク質やビタミンD・E・B1・B2などのビタミン類、リン、カリウムなどのミネラル成分も豊富に含まれています。ビタミンB群は、身体に必要なタンパク質や脂質の合成を補助してくれる役割がありますし、カリウムはむくみ防止や心臓機能、筋肉機能を調整してくれる効果があります。
たちのカロリーは100gあたり約65kcal、タラの白身は約77kcal。たちは低カロリーで高タンパク質な、健康に良い食材といえます。
白身よりもカロリーが低いとは思いませんでした。そして、こんなに栄養満点な食材だとはびっくりですね。
でも、たちにはコレステロールやプリン体が多く含まれているので、食べすぎには注意したほうがいいですね。
よく「妊婦さんはたちを食べてはいけない」と言われます。それは、たちには寄生虫の「アニサキス」が潜んでいる場合があるからなのです。なので、妊娠中は体の抵抗力が弱まっているので、生食で食べるのは控えたほうがいいですね。ただ、アニサキスは70℃以上加熱するとすぐ死滅するので、たちの味噌汁は食べても大丈夫ですよ。
気になる「たちの味噌汁」のビジュアルと美味しさ
「たちの味噌汁」は正直なところビジュアルがはよくありません (笑) 私も子供のころは、助たちの見た目が苦手で食べることができませんでした。食わず嫌いだったんです。
でも、助たちのうま味が溶け込んだ汁だけは美味しくて、いつも飲み干していました。具材が苦手な私に母が代用してくれたのが絹豆腐でした。なので、今も我が家の「たちの味噌汁」にはいまでも豆腐を入れることがあります。
「たちの味噌汁」を食べてみて助だちそのものを美味しさを実感した時には、大人の階段を上った気分になりました (笑) いまでは冬に欠かせないメニューの一つになっています。自宅で料理するのはもちろん、外食先で「たちの味噌汁」のメニューがあったら注文してしまいますね。
冬にしか味わえない北海道の郷土料理「たちの味噌汁」
機会があれば、ぜひ味わっていただきたい一品です。
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